概要
この秋、生活者の目を最も強く引いているのはエステーの消臭力だろう。新製品の投入に加えて全額返金キャンペーンまで打ち出し、清潔・消臭というカテゴリーで他社の追随を許さない勢いを見せている。日用品という地味になりがちな分野で、ここまで積極的な攻めの姿勢を取る企業は意外と多くない。だからこそ、このキャンペーンの話題性が際立っている。
詳細
その勢いに呼応するように、食品・飲料業界でも新商品や施策のラッシュが続いている。楽天カードは新CMの放映に合わせて「楽天マジ得フェスティバル」を展開し、入会・利用ポイント施策を大々的に告知した。クレジットカードという金融サービスでありながら、消費財のキャンペーンさながらの盛り上がりを見せているのが興味深い。サントリーは10月6日発売の新製品を控え、天然水ブランドの露出を高めている。いなば食品も負けじと、2026年秋の新商品を9月28日に発表し、家庭の食卓に新たな選択肢を提案した。一方でキッコーマンは、9月の値上げ報道と米国新工場の稼働という、相反する二つのニュースで同時に名前が挙がった。値上げという守りの話題と、海外展開という攻めの話題が重なるのは珍しく、企業としての二面性が垣間見える。コーヒーや茶飲料の分野でも動きは活発だ。「Coke ON対応やかんの濃麦茶」は9月27日まで続いたスタンプキャンペーンで、飲料とおやつをつなぐ購買導線を作り上げた。日本コカ・コーラはさらに踏み込み、10月5日と19日に紅茶花伝の新製品を立て続けに発表する計画を明らかにし、紅茶飲料市場での存在感を一段と強めている。江崎グリコもアーモンド効果の新商品と、冷凍幼児食ブランドの展開という二本立てで攻勢をかけ、健康志向と子育て世帯というそれぞれ異なる層にアプローチしている。Kura Sushiは自ら新商品を出したわけではないが、食品値下げという文脈の中で名前が挙がり、消費者の節約志向を象徴する存在として扱われた。そしてP&Gジャパンは、洗濯洗剤ブランド「ボールド」のリニューアルを発表し、日用品カテゴリーでもエステーに劣らぬ存在感を示した。
まとめ
こうして見渡すと、今日の消費財市場は「値上げのニュース」と「お得なキャンペーン」が奇妙に同居している。エステーや楽天、コカ・コーラのように購買意欲を刺激する施策が目立つ一方で、キッコーマンの値上げやKura Sushiが象徴する節約志向も並走している。秋の新商品ラッシュは単なる話題作りにとどまらず、値上げムードの中でいかに消費者の財布のひもを緩めさせるか、という各社の知恵比べの表れとも言えそうだ。