概要
10月1日、ニコニコレンタカーが福岡空港国際線ターミナルに新店舗をオープンしたというニュースは、訪日需要の回復がレンタカー業界の出店戦略そのものを変えつつあることを物語っている。国際線ターミナルという最前線に拠点を構える判断は、空港到着後すぐに車を借りたいという外国人旅行者の行動様式を見越したものであり、単なる店舗拡大以上の意味を持つ。地方空港を起点とした周遊需要の取り込みに、各社が本気で動き始めた合図とも言える。
詳細
レンタカー各社の攻防はこれだけにとどまらない。オールタイムレンタカーは10月21日、東京・日暮里に新拠点を開設し、都市部での利便性向上を打ち出した。タイムズカーは会員数400万人突破という節目を迎え、カーシェアとレンタカーの垣根を越えた利用者基盤の大きさを改めて示した。トヨタレンタカーは旅行需要の回復を背景に各地でキャンペーンを展開し、安定した存在感を保ち続けている。オリックスレンタカーも法人・個人双方の利用動線で提携ニュースを重ね、ニッポンレンタカーは空港利用や地域連携を軸に市場の定番としての地位を固めている。一方、旅行予約サイトの世界では秋の繁忙期に向けた仕掛けが本格化した。楽天トラベルは10月1日からオータムSALEを開始し、秋冬の予約需要を一気に取り込む構えを見せている。これに対抗するようにじゃらんも10月5日からスペシャルウィークをスタートさせ、国内旅行の予約合戦に火をつけた格好だ。両社のキャンペーン時期が重なったことは偶然ではなく、紅葉シーズンという最大の商機を逃すまいとする業界全体の空気を反映している。JTBはJATA関連のキャンペーン導線を活用し、国内旅行の定番としての安定した集客力を見せつけた。海外旅行分野ではHISが25歳以下向けの新ブランド展開や決算に関する話題を発信し、若年層の取り込みと経営基盤の立て直しを同時に進めようとする姿勢がうかがえる。
まとめ
全体を俯瞰すると、空港拠点の拡大、都市型店舗の新設、会員基盤の大型化、そして秋の予約キャンペーン合戦という複数の動きが同時並行で進んでいることが見えてくる。インバウンドと国内旅行、どちらの需要も取りこぼさないようにする各社の姿勢は、旅行業界全体が本格的な回復期に入り、競争の軸が「量の確保」から「体験と利便性の質」へと移りつつあることを示しているのではないだろうか。